第100回 真剣勝負

百田尚樹著「海賊と呼ばれた男」が今年映画化されるようだが、同著の「永遠のゼロ」と合わせて二冊を一気に読んだ。毎日四時間半の通勤時間でも、五分、十分の時間を捻出すれば何とか本を読むことができるものだ。「永遠のゼロ」には太平洋戦争の特攻隊で戦死した戦闘機パイロットの孫が、祖父の戦友を訪ね、祖父が如何に生き、如何に戦ったかを解き明かしていく。生きることへの執着から、卑怯者とまで言われたが、特攻隊出撃となり搭乗機のエンジン音異常を察知するのだが、生きて帰ることのできる唯一の道を人に譲ってしまう。

ゼロとは零式艦上戦闘機のことで、「永遠のゼロ」の空中戦描写は「大空のサムライ」の著者で戦闘機パイロットの坂井三郎さんを思い出させる。坂井さんは2000年まで実在した人物で、「大空のサムライ」、「戦話・大空のサムライ」にはまさに命を懸けて戦った貴重な記録、言葉が数多く残されている。また、「大空のサムライ」は世界的ベストセラーにもなった。

「戦話・大空のサムライ」に“百回の訓練より一回の真剣勝負“というくだりがある。実戦の体験には、貴重な得がたいものがある。真剣勝負を体得することは不幸なことで、せずにこれに近いことを体得できないかと考えておられたようだ。

幸いにも、私には実戦の経験はないが、貴重な経験をしたことがある。佐分利流槍術の地稽古では防具をつけて双方が槍で突きあう。何度もこの稽古を行っていたが、一度だけ忘れられないことが起こった。相手が突いてくるのに合わせて、槍で受け流す、相手の引く槍に合わせて槍を突く、すると、相手の身体が宙を一回転して地面に転倒してしまった。全く無意識での一瞬の出来事だった。雨上がりの水溜りに落下した相手には申し訳なかったが、「やった!」と思った。まさに合気道の稽古の成果だった。

繰り返し稽古することで身につく合気道の技に疑問はない。しかし、稽古で注意しなければならないのは、「間合い」、「入り身」、「受身」を真剣に行うことだと思う。

 

 

 

2013年4月7日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai