第201回 高齢者

 今回の自動車運転免許更新はいつもと違ったもので、二時間の高齢者講習を受けることになった。十分程度のコースを走る実技もあったが、教官からは良い評価を頂いた。高齢者講習は七十歳から始まるのだが、免許返納の話も聞かされ、あと何年運転できるのかを考えると恐怖を感じる。

 私の父と山口清吾先生が他界した年に近づいて来たことを思うと、毎日のんびり過ごす訳にはいかない気がして、何かしなくては、という気持ちにさせられている。合気道では何が出来るかは分からないが、出来ることを精一杯取り組みたいと考えている。コロナ禍で稽古出来ない日々が続いて来たが、ひとまず、十年後も受け身が取れる身体を維持することを目標としたい。

 十年前は、七十代の身体はどんな風になっているのか、全く想像することができなかった。この数年で徐々に分かるようになり、体力の低下、筋肉の減少や柔軟性の欠如は想定内だが、加齢による手指の関節痛は想定外だった。身体の色々な部位に不要物が蓄積されて来ているように感ずる。日本最高齢のフィットネスインストラクターとして活動する瀧島未香さん(九十歳)は、「年齢はただの数字です。絶対に諦めないで、少しずつでいいからやって欲しい。」と言っている。私も今から、諦めずに、出来なくなったことを取り戻すことから始めたい。

 合気道の稽古を重ねて蓄積されてくるのは、呼吸力であり、この呼吸力とは筋力に頼らない力だと私は理解している。但し、呼吸力を実感すること、筋力で投げたのか、呼吸力なのかを判定することはなかなか難しい。力を抜いて投げることをいつも心掛け、また会員の皆さんに指導もしているが、無駄な力が入っていることに気づき反省する場面もある。

 日常生活の中で呼吸力を活用できるかどうかは分からないが、合気道の最大の魅力は何と言っても呼吸力。容易には手に入らないものだけど、諦めないで続ければ夢は叶うだろう。合気道に免許返納が無いのは有難い、稽古出来ることに感謝!

2021年10月3日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai