第220回 向上心

 「シェイクスピアは、『悲しみを言葉に出せ』と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」G7広島サミットでイギリス・スナク首相が原爆資料館に記帳した言葉が心にしみる。

 私は日々の稽古の中で感じた、悲しみだけではなく、感動したことや気付いたことを言葉にして、この春から書いている。稽古の振り返りとボケ防止が動機で、書くことを目的として、その日の出来事をひとり一人思い出しながら、思いつくまま書き留めている。

 先日の少年部昇級審査では、若干緊張している様子も感じたが、無事終えた。入門部の審査では、稽古日数の差はあるものの、理解力の差と向上心の差が現れた。稽古日数が少なくて理解できなかった事もあったかも知れない。指摘された内容を理解し実行できれば再審査でクリア出来るのだが、技を覚えたい、上手くなりたい、という向上心が不足している場合は厄介だ。指摘されたことに真剣に向き合って取り組む姿勢が見えない。我慢比べになる、同じ事を繰り返し注意しても、その場限りで終わるので、前に進めない。これは子どもに限ったことだが、、、。

 私も、この子ども達も、この状況から抜け出すことが出来ない状態が続いている。年を重ねれば解決方法が分かることでも無いし、ただ経験だけを積んだだけでは答えは見つからない。良い指導者を目指している訳では無いが、道場の皆さんのスキルが上がれば良い稽古ができる、それが自分に返ってくる。人を変えようと思えば、まず自分自身が変わらなければならない事は分かっている。

 合気道の稽古を継続している人たちは、合気道の面白さを知っている、そして稽古は楽しいと思っている。それを人に伝える方法を確かなものにしたい。

2023年6月3日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai