私が合気道を始めたのは十三年前のことです。親の勧めで道場へ見学に行った際、道着を着て稽古を受けている方々の姿を見て面白そうだなと思ったのがきっかけでした。
実際に稽古を受け始めた時は遊んでいるような感覚で取り組んでいました。投げ技が決まると気持ちがいい、技のおさめまでできると格好良いと思っており、とにかくいろんな技を覚えたいと思っていました。その一方で入身の姿勢や転換の練習というものが非常に退屈でした。どんな姿勢でも技が決まれば良いのではないか、受け身は怪我をしないようにするためだけのものではないか、という疑問を持っていました。
小学校の時に、「特技は何ですか?」という質問に私は毎回、「合気道です。」と答えていました。しかし、その後決まって「合気道とはどんなことをするんですか?」と質問され、なかなか具体的な説明ができずにいました。そしてその度に、合気道は本当は何を目的にして行われているのか、自分にとって合気道をやっていることがどのような影響を与えてくれているのか考えていました。
その答えが見つかったのは、少年部から一般部へ移行してからでした。一般部の方々との稽古は入門部や少年部の頃とは違い、身長差や力の強さが大きく異なっている人を相手にするため、細かいところまで注意して動かなければいけません。受け身に関しても、ただ投げられるためだけにいるのではなく、常に隙があれば反撃するくらいの気持ちを持って取り組むことが自分だけでなく相手のためにもなることがわかりました。技を決める側、受ける側、どちらであっても相手との駆け引きが必要となってくるのが難しいところですが、逆にそこが魅力でもあることを知りました。また、どの技に関しても一人で稽古することができないため、共に切磋琢磨し合える仲間への敬意を改めて大切にしなくてはいけないと思いました。
合気道は取り組み方次第で、護身術というだけでなく、自らの精神を鍛えることにもつながってきます。まだまだ未熟な身である私は、多くの技と人との関わりを大切にして、更なる精進をしていきたいと思っています。