先日、戦艦大和乗組員の生存者、八杉康夫さんの講演を聞き、深い感銘を受けました。福山市出身、15歳で大竹海兵団に入隊、横須賀砲術学校では2番の成績で卒業、17歳であこがれの大和に乗艦。3009名を乗せ沖縄特攻に出撃し、276名が生還、現在は20名が生存されているそうです。
現在、八杉さんは82歳、長身で張りのある高い声、映画「男たちの大和」の撮影では75度の階段を滑り降りてみせ、俳優の反町、中村から「スーパーアイドルじいさん」と呼ばれというエピソードもありました。この映画では八杉さんの役は神尾克己(松山ケンイチ)だったそうです。
大和の拡大写真、当時の実録ニュース、効果音を交えた講演で、八杉さん自ら感極まる場面もあり、会場は何度も涙を誘われました。大和が大きく傾き、脱出する際、目の前で上官が切腹した話、大和が沈む渦に巻き込まれた話、4時間の漂流で死んでいく仲間の話もありました。「お前は若い、頑張って生きろ」と、溺れそうになった八杉さんに丸太を渡してくれた高射長は生き残った乗組員が駆逐艦に救出されるのを確認して、自分は沈んだ大和の方向に泳ぎ去って行きました。実話だったのかと涙が止まりませんでした。高射長のその言葉が八杉さんの生きる支えとなったそうです。
八杉さんからの遺言です。『戦後の教育がどこかで間違った。地域、社会、家庭教育を放棄した結果です。本当の平等、自由を教えませんでした。人間として生きることの意味すら教えていない。今からでも遅くないから教えてほしい。人間が生きることの意味を教えてください。生きたことの証しを残すように教えてほしい。』
我が身に振り返ってみますと、生きることの意味を教えることができるだろうか。また、生きたことの証を残すことができるだろうか。答えを出すには、たくさんの時間が必要なようです。
著書:「戦艦大和 最後の乗組員の遺言」
