第44回 状況判断

鹿島神流十八代宗家國井善弥の修行時代のことですが、最後の仕上げとして新陰流免許皆伝の佐々木政之のもとで厳しい修行を行なったそうです。入門してしばらくは剣を持つことも無く、善弥を呼びつけると「ナニを持ってこい、ついでにナニもな」と命じる。まごつくと、すかさず雷が落ちる。朝起きて座ってすることは何か・・・眼鏡をかけて新聞を読むので、「新聞を持ってこい、ついでに眼鏡もな」。このなぞかけは修行期間の最後まで行なわれたそうですが、最後は百発百中だったそうです。

実は、これは状況判断の鍛錬だったのですが、とても重要な訓練であったことがわかります。私は、この状況判断ができるほうではなく、失敗することが多いのですが、逆に、日常生活の中で、とっさの状況判断を受けて対応してもらった時は、一瞬の感激と心地よさを感じます。

学生の頃、本部道場での稽古の中休みで座っているところに山口先生が寄ってこられて『今日、電車の中で学生二人が椅子に座ろうと無理やり割り込んできたから、“無礼者“と怒鳴りつけてやった。それがあの二人に似ている。』と私に話をされたのですが、私はただ『ああ、そうなんですか』と一言。先生は無言で去ってしまわれた。先生が何故私に言ったのかをとっさに判断し行動できなかったことが悔やまれ、今でも時々思い起こすことがあります。

道場稽古ではできないこと、日々の生活の中でこそ鍛えられることがあることを知るべきでしょう。状況を読み取り、それに備える、またその先を読み失敗のないようにする。簡単にできることではありませんが人との関わりの中でこそ鍛錬できることだと思います。

あの時の二人が無礼者だったかどうか、今ではただ想像するのみ・・・。

 

 

 

2008年8月1日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai