第43回 叱られて叱られて

昨年、彼の一級審査はさんたんたるものだった。相手が手をつかんだ状態がしばらくの間続いた。手を持たれたまま銅像のように動かない。審査中なのに・・・彼の体は固まってしまった。この窮地をどう対処するかという思いもあり、私は彼と我慢比べをした。結果、彼は我慢比べで私に勝った。

負けた時に私が発した言葉はとてもきつい言葉でした。家に帰ってから、それを見ていた息子からも“きつすぎる”と言われた程でした。一級の審査中のことであり、できない事に対して収まりがつかないこともあったので、私としては、きつく叱るしか他に方法がありませんでした。

その彼は少年部から合気道を始め、中学では部活と両立しながら稽古していました。高校入学後は稽古を休むようになりましたが、昨年から稽古を再開し、稽古熱心でもあったことから、十一月に一級の審査となったわけです。同級の友達は既に初段ということもあり、稽古はほとんど休まず、少年部指導員としても良く手伝ってくれていました。しかし、稽古の中身は少年部の延長でした。技の意味を理解しながら稽古する、技を体系づけて整理する、というようなことがなかったのだと思います。

叱った後の意気消沈した様子を見て、心配しましたが次の日も稽古に来てくれ、ホッと安心しました。その後もさらに、熱心に稽古を続け、この五月には初段の審査となりました。もちろん一級審査の失敗経験は生かされており審査は無事終了。昇段の作文は、彼の成長が伺われる立派なものでした。

『笑われて笑われて反省するのだ
叱られて叱られて賢くなるのだ
たたかれてたたかれて強くなるのだ』

 

 

 

2008年7月1日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai