第191回 重荷

国道191号線の山中、この時期、伐採した材木を満載したトラックの後ろにつくことが多い。登りでは後続車に道を譲らないことが多いので、荷崩れを警戒しながら多めに車間距離を取って、我慢する。荷物を満載したトラックが登りで停止すると、発進と加速するのに燃料を大量に消耗するうえ、スピードを取り戻すのに時間を要するのでトラックも簡単には停められない。トラックにはゆっくりでも停まらず動き続けることが大切なこと。このことは、車に限らず他の事にも当てはまるようだ。

作家宮本輝氏によると、「作家には行き詰まって書けなくなることがあり“書けない、書けない”で酒を飲んでると、何年経っても書けず、ついには書けずに終わってしまう人をたくさん見て来た。筆が止まってしまったら、橋渡しをする一行を無理矢理にでも書くと、次の橋に渡れる。この一行を書くには大変なエネルギーが必要だが、それがしんどいから“書けない”と酒を飲んでいる。」宮本氏は書けなくて行き詰まった時の対処法を言っている。「一行でもいいからとにかく書く、書いたらまた書けるようになる。書けなくても書かなきゃいけない時に、何が大切か。これは結局、書き続けるという意志と技術を自分の中で見つけて、絞り出すしかありません。」

何事も、とどまることなく、ゆっくりでも動き続けることが大切。徳川家康の『人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し 急ぐべからず』を思い出す。

このコロナ禍、道場に姿を見せない会員が数名居られる。それぞれに事情があるので、責める訳ではない。かつて、私も、自から合気道に別れを告げたが、九年後、偶然にも東区スポーツセンターで行事予定表の中に山口先生の講習会を目にした。この時、自分には合気道の他に何も無いことに気づき、この講習会道場の山口先生に、ご挨拶に出かけたおかげで今の私がある。とどまって動き出すのに九年を要した。成功者は必ず言う、「諦めないこと」、「夢は必ず叶う」、そんな言葉が言えるようになる日まで、稽古に精進!

2020年12月5日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai