第190回 合理的

 小学生の女の子に、「合理的とは何?」という質問に答えているラジオ放送が流れていた。例をあげて説明していたようだが、残念ながら難聴のせいで内容は聞き取れなかった。合理的とは、「道理にかなっている」という意味が思い浮かぶが、そのほかに「無駄なく能率的」という意味もある。

 合理的でなくなるのは、感情を優先した場合のようだ。合気道の稽古において、無心に稽古に取り組む姿には、その人の感情は表に現れない。非合理的な無駄な力と無駄な動きがあったとしても、感情をコントロールすることができれば合理性を追求する姿となる。稽古相手が気に入らないとか、この前の仮を倍返ししてやろうというような感情が起こると、気持ちがそのまま稽古に現れ、合理性の追求ということからは程遠い稽古になってしまう。他人の感情をコントロールすることはできないが、自分自身の感情をコントロールすることはできる。稽古に感情を優先してはならない。

 『雨が降ったら傘をさす』という言葉は、「会社経営の極意はなんですか?」という質問に答えた、松下幸之助さんの答えだ。雨に備える、思いと、行動があれば、雨に濡れることはない。収まることのないコロナ禍に手を緩めることはできない。棒と剣を使って、六月から再会した稽古だが、幸いにも感染者を出していない。この傘で大丈夫だろうかと、いつも思う。ネットや、他からの情報によれば、コロナ禍前と変わらない接触式稽古や、特定の技に限り接触式稽古をしているところもあるようだが、雨が降ってる時に傘をさすのが常識だから、広島では、このまま今の稽古方法を継続したい。

 コロナ禍のような状況であっても、良い稽古をしたい。コロナ対策を取りながら、また自分自身の感情をコントロールし、その時、その時を最高の時間にしたい。感情にもプラスの感情とマイナスの感情がある。良い稽古することによって「嬉しい、楽しい、満足」といったプラスの感情が自然に沸き起こることはあるが、稽古する前からこのような感情を持つことは避けたい。

2020年10月3日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai