第180回 演武

演武会当日は天候不順ではあったが、十一月にしては比較的温かった。前日、子ども達に二つの注意事項を言い渡した。「相手から目を離さないこと」、「足を大きく開くこと」、この二つを演武前の挨拶でも言ったが、実行できたかどうか子ども達に聞いてみた。返事が返ってこなかったので、注意事項のことは記憶になかったようだった。全員、いつもよりは足が開いているようにも見えたが、ひとりだけ誰よりも大きく足を開いている子がいた。練習では技を何度も間違えていたので技の数を少なくしたところ、“私できるので”と、進言に来たので元に戻した子だった。褒めてあげたい。

一般部の演武では、事前に技を考え、練習を行い、本番で間違えずに上手くできれば満足することができる。しかし、段位も上がり経験も豊富になると事前準備は行わず、出たとこ勝負で演武会は自分自身を試す場としている。こうなると、満足を得ることはほとんど無いと言って良い。

弐段までの段階では、一教、二教、入身投げ等の基本的な技に集中して取り組むのが良い。稀にしか行わない技を演武しても、失敗していることに気付かないことにもなる。普段の稽古でも良く見かける光景だが、模範の技を見た後、自分でやってみる段になると、違う動きをしている。これを分かってやっているとは思えない。初心者であれば、見取りできないことがあるが、先入観から来る間違いだと思われる。多くの技を披露することも一つの演武方法ではあるが、まだまだ早い、時期尚早であることを肝に銘じて欲しい。

自分と相手の“受け”との“呼吸”が合えば良い演武ができるが、受けも百人百様で、受けの特徴を捉えないと上手く捌くことができない。私が目標・理想としている演武は、立ち姿のきれいな「美しい演武」だ。姿勢を正し、無理がなければ、その技は美しくなる。私自身の演武がレベルアップすることはそのまま皆さんのレベルアップに繋がる。まだまだ青春、あと三十年頑張るかな?

2019年12月7日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai