今年は少年部を卒業する六年生5名が、最後の稽古で卒業演武を行った。その日にひととおりの技を稽古してからの演武だったので、流れるような演武を期待していたが、そこまでの力は、まだまだなかったようだ。
休まず稽古に来るけど、なかなか上達できないというのは指導者の責任もあるが、本人の運動能力以外に、取り組み姿勢にも問題がある。何となく汗をかいて帰るようでは大きな進歩は望めないし、真剣に取り組まなければ稽古に来る意味は無い。一事は万事という、合気道に限らず、他の事にも真剣になれないのではないだろうか。自分の目の前にあることは、どんな小さな事にも全力で取り組まなければ進歩、成長、変革は期待できない。
歌舞伎役者で人間国宝の六代目尾上菊五郎さんが弟子に、『稽古は人の3倍やれ、人の倍は何かの勢いでやれてしまうことがある。しかし、3倍やるには志がなければできない。』と言った。幼い日に師から言われたこの言葉を、ずっと胸に秘めて稽古に励んだ中村芝翫(しかん)さん自身も人間国宝となられたそうだ。尾上菊五郎さんの言葉の重み、そして、その言葉を受け止めて稽古に励んだ中村芝翫さん、どちらもすばらしいお手本だ。
志とは、大きな夢に向かって、一つ一つの目標を達成して行こうとする信念を言う。合気道は一つ一つの積み重ねだ。ひとつの技を完成させるには基本動作を確実に身に付けなければならない。繰り返し、繰り返し、基本動作を反復し、体に記憶させることが大切。そして、誰と稽古しても技がかかるように修正をすることで技が進歩、ながいながい道のりだ。志がなければできない。
稽古中、指導者から注意されることは有難いことと感謝しなければならない。注意されたことを一つ一つ乗り越えることができると楽しくなる。注意されなくなったら、良くなったか、諦められたかどちらかだ。志を胸に、素直さと謙虚さをもって、合気道の夢に挑戦しよう。
