第56回 呼吸

合気道には呼吸法という言葉があります。通常私たちは、座って正面から両手首を持った相手を抑える技のことを言っていますが、正確には“座り呼吸力養成法”のことを言います。これは座り技だけでなく、半身半立ち、立ち技と変化しますが、合気道の根幹となる呼吸力を養うことができます。座法の反復練習を行なうことが一番の近道だと言われています。

この座り呼吸法を稽古する時、特に注意しなければならないことは、相手と力較べをしないことです。しかし、稽古を見ると残念なことに最悪の力較べを楽しんでいるように思えます。もう一つは身体全体の力を使い小細工をしないことです。一つの試みとして、受け側が手首を握らずに、相手の手の甲に自分の手のひらを当てた状態を保ち(最後まで)受身を取る稽古を行なっています。

学生の頃ですが、座り呼吸法は、“自分の呼吸(吸って吐く)に合わせて行なう”と教わったことがありましたが、その真偽のほどは今も分かりません。呼吸とは酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を体外に放出することをいいますが、身体に影響を与えるのは、二酸化炭素の方です。今の医学では二酸化炭素が増加すると、脳のセロトニンが増え気分が高まる、逆に減ると落ち込んでしまうと言われています。ダイバーは長く息を止めていることで気持ちが高まってくるようです。これは、自分の呼吸によってセロトニンの量をコントロールすることができる、つまり、ゆっくり長く息を吐くことで心の安定を保つことができるということになります。

吐く息だけに集中し、一から十まで数える呼吸法(数息観)が良いと思います。電車の中、歩いているとき、テレビを見ているとき、背を伸ばし下腹に力を込め呼吸を工夫しています。合気道も人も、どちらも呼吸が大切!

 

 

 

2009年8月1日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai