第213回 演武で学ぶこと

 合気道歴一年の青年に演武会開催の話をした際、“演武とは何? 何の為にするの?”という言葉を私に投げかけてきたのに、少々驚きを感じた。今までに一度もこのような疑問を抱いたことがなかったからだ。週一の稽古だけで、合気道に関する情報収集をしたことがない様な初心者であれば、そうかもしれない。

 どの道場でも、どの会でも年に一度の演武を行っているものと思われる。一年間の稽古の成果を自ら確認する、自分の技・力量を試す、他の人の演武を見て学ぶ、指導者の立場から足りないところをチェックする、そして合気道の普及に努めることを目的とし、一人三分前後の演武を行う。演武内容については、子ども以外は自分で組み立てることになる。

 全ての技を決めた通りに演武したとしても、その結果は満足できないであろう。少なくとも若い頃の私はそうであった。多くの人に注目され緊張している、しかも受け身の相手も緊張して硬くなっている中での演武なので、稽古通りにはできないことがある。高段者になってくると、演武前に自分自身にテーマを課すこと以外には、演武内容は決めない人が大部分だと想像する。こだわらず、とらわれず、無心で演武できることを理想としている。試合のない合気道だから、演武を自分自身の成長と技を試す場のひとつとして活用すべきだと考える。

 子ども達にとっては、決められた技を間違えることなくできたかどうか、これが最大のポイントになる。しかし、間違いはなかったから反省することはない等と言ってはならない。入場の仕方、礼の仕方は良かったか、間合いは近すぎなかったか、投げた後の視線を相手から外さなかったか、修正するように注意されている技が修正できたか、細部まで点検し反省することが大切。稽古の繰り返しで修正できた所も、演武では元に戻ってしまうこともある。演武の後は、動画でチェックし,壁を乗り越え、一歩一歩前に進もう。

2022年11月6日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai