第73回 年頭自警2011

私が子供の頃、冬は雪の中で竹でソリやスキーを作って遊び、カマクラを作って遊んだ。犬にソリを引かせたが全く動かなかった。正月は外で凧揚げ、家の中ではこたつでミカンつり、かるた取りと決まっていたが、今は外で遊ぶ子供の声を聞くこともない。

今年の正月はテレビ番組がいつもと違っていた。「フリーター、家を買う。」(有川浩著、幻冬舎刊)という昨年のドラマの再放送に2日間、家族全員が引き込まれしまった。何をやっても長続きしない主人公が、母親のうつ病をきっかけに、少しずつ変わっていく過程が描かれていた。“母のために家を買う”という目標が主人公を変えていった。強く求めていればこそで、裏返せば、求めていなければ何も得ることはできないということだ。また、母を介護する主人公の姿が自分と重なったが、高齢者介護に回復はないのが辛い。

目標を達成するために、一日に一万回、自分の目標を唱えると願いがかなうという手法がある。密教では、弘法大師空海が十九歳の頃、土佐(高知)室戸岬の洞窟の中で虚空蔵求聞持法を営み、その果てに“明けの明星が口に飛び込む霊異を体験し、同法を成就、超絶的な記憶力を獲得した”という秘法がある。これは大自然の中で真言を百日間で百万回唱えるというものだ。どんなことでも、一日一万回百日間続ける精神力があれば何でも成就してしまうような気がする。

年頭にあたり、今年一年の目標を掲げ、その成果を演武会で確認する。あるいは一年後に振り返って反省し、次の目標を設定する。これを全員で取り組んで頂きたい。

『浜までは海女(あま)も蓑(みの)着る時雨(しぐれ)かな』(滝瓢水)身体を大切にし、諦めることなく、日々努力を重ねていきましょう。

<参考>求聞持法の真言とは、「ノウボウ アキャシイ ギラバヤ オンマリキャ マリボリソワカ」

 

 

2011年1月8日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai