最後の稽古
  当時の生田合気道同好会は、レスリング部の道場を借りて昼休みの一時間を稽古していました。入部した数日後、新入部員で道場の掃除をしているところにフラッと入って来られた中年の男性を見て、「どこのおじさんだろう?」と思ったのが山口先生の最初の印象でした。師範を見て入部した訳ではないので、卒業して初めて自分たちがどんなに恵まれた環境で稽古してきたかを知る事ができました。

 一年生の入部して間もない頃、一教の稽古中、山口先生が直接私の手をとって指導して下さいました。しかし、この時は緊張のあまり”どうなったのか”全く覚えていません。時々、思い出しては残念がっています。合気道の稽古の楽しさ、そして先輩・同輩との楽しいひと時が私を合気道の虜にしてしまいました。本部道場、池の上、渋谷、港区と稽古に明け暮れ、三年生の時には本部道場の近くに下宿までしてしまう程でした。