初段 R・I

小学校二年生のある日、私は小さくて真っ白な道着に袖を通し真っ白な帯を固く締めた。それから長い月日がたち高校を旅立った春、私は念願だった真っ黒な帯を頂くことが出来た。

稽古を通して、私は投げ技や受け身など様々な「技」を教えて頂いた。ただし、私がこれまで経験した日常生活の中でこのような「技」を使うことは限りなく0に近い。しいて言うなら、学校の体育の柔道で学ぶ「前回り受け身」が周りの人より美しく回れるくらいである。私は昔、合気道は一体何のためにやっているのかよく分からなかった。しかし、私は今このように感じている。合気道は自分の精神力を鍛えるため、相手に敬意を示し相手を感謝することの大切さを学ぶため、つまり合気道は自分の「心」を第一に鍛えるために行っているのではないかと思っている。

日本には「一期一会」という言葉がある通り、相手を敬うという文化がある。その大きな例としてお辞儀があげられる。人に会った時、感謝の心を伝える時、謝罪する時、共感を示す時など様々な場面で我々はお辞儀をする。実際に稽古中はすべてお辞儀で始まりお辞儀で終わる。我々は何気なく普段お辞儀をするのだが、海外の人から見るとそれは驚きの光景である。2013年、国際オリンピック委員会(IOC)総会での滝川クリステルさんのプレゼンテーションはとても印象的であった。「お・も・て・な・し」からの一礼。たったこれだけで「皆様を敬意を示して迎い入れます」という思いが伝わってくる。我々はこのような文化をこれからも大切にしなければならないし、絶対になくしてはならない。

合気道は日本から生まれたスポーツであり、実際至るところにそのような文化を感じるところがある。先ほど述べた通りすべてにおいてお辞儀で始まりお辞儀で終わる。ただ投げればいいだけではなく、相手の流れを生かしできるだけ相手にけがをさせないように投げればならない。私は合気道を通じてこのような当たり前の文化の大切さを改めて感じることが出来た。本当に続けてきてよかったと思う。

私は、県外の大学へ進学するためこの道場から離れることになる。これからも感謝の気持ちを忘れずに頑張りたいと思う。

 

皆様本当にありがとうございました!

 

 

2019年3月25日