毎月発行する新聞「めざせ達人」から掲載しています
コラム/めざせ達人
めざせ達人
第207回 心の才能
東京2020オリンピックでアーティスティックスイミング4位入賞に導いた井村雅代ヘッドコーチは、「伸びる選手には共通して“心の才能”がある」と言っている。さらに、「オリンピック選手達は皆、運動神経が良く、才能を持った集団というわけではない。オリンピック選手になりたい、世界の頂点に立ちたいと誰よりも強く、強烈に願い、努力をし続けている人たちの集まりです。たとえ失敗しても、自分の努力が足りなかったからさらに努力しようと切り替えられる強い心を持った人、そういう人が、世界の頂点を掴めるのだと思っています。」指導者の立場から見た、オリンピック選手達の実態を知らされ、遠い存在のオリンピック選手が、ぐっと近くに感ずることができたのではないだろうか。人によって言葉、表現は異なっても、夢を叶えるための法則は、ひとつしかないと言っても良いだろう。
井村さん自身、選手としても日本選手権で二度の優勝経験があるが、指導者としても数々の実績を残している。さらに、北京、ロンドンオリンピックでは中国代表チームの監督に就任し、銅、銀メダルを獲得している。その指導は、スパルタ式指導法として知られているが、そのイメージに合致しないのが次の言葉だ。「心の才能を養うためには、日々の練習の中で、自分は変われる、成長できるという手応えを感じさせてあげること。些細なことでも、小さな努力に気付いて認めてあげること、それが自信に繋がる。」
私の合気道稽古そのものは、良き指導者となるのが目的では無い。自分が理想とする山口先生の合気道を稽古したい、という純粋な思いから河内体育館で合気道を始めた。良い稽古をするためには、良い相手が数多く必要となる、人を育てて行かなければならない。しかし、積み上げた石垣は、土石流のごとく流されてしまう。山口先生のような合気道が出来れば、自然と人は集まって来るが、足下にも及ばない現実がある。稽古が出来なくなるその日まで、諦めること無く、山口先生の合気道を目指し、自他共に心の才能を養って行くことが肝要だと思う。
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