毎月発行する新聞「めざせ達人」から掲載しています
コラム/めざせ達人
めざせ達人
第222回 習うこと
猛暑の中での厳しい道場稽古、室内温度計は摂氏三十八度を指す日もある。おまけに入門部の稽古では西日が侵入してくる。それでも子ども達は元気だ、稽古前の僅かな時間も、また五分の休憩時間も遊び時間となる。遊びに巻き込まれると、走って子ども達を追いかけなければならない。子ども達は必死に逃げるので、必死で追いかける、この一時を楽しんでいる。
入門部の五~七才の子は、自由で我儘、嫌なことは態度で拒否するが、今は叱ることや無理強いはしないようにしている。暑さにも負けずに、道場に来ることから、合気道の稽古をすることは嫌ではないと判断している。どのように導くか、反応を見ながらその方法を模索している。
少年部は少人数なので、休みが重なると二~三人の場合がある。先日は、子ども二人、暑さのため体力の消耗が激しく、気力も萎えそうになったが、心身一如、心を整え気力を奮い起こして稽古を開始した。前半を終了したところで五分の休憩を取った後、稽古再開のため剣を持って前に出た。二人の子を見ると、静かに下を向いたままで動きがない。いつもなら声掛けし、再開を伝えるのだが、道場の中央で、暫く二人の様子を伺っていた。経過すること五分、全く変化は見られず、下をむいたまま顔を上げることは無かった。そこで、時間は二十分残っていたが、稽古終了を伝えた。初めての出来事だった。
稽古に来たからには真剣に取り組む、これは進歩向上のための基本条件。それは自らの意志による自発的な行為であり、人から強いられるものではない。強くなりたい、上手になりたい、技を覚えたいという気持ちが無ければ、自分自身を変える事はできない。稽古の本質は、教わるものでは無く、自から学び取るもの。道場に来れば教えてもらえるものだという認識を持っていたら改めなければならない。手本を示し、それでも気付かなければ手助けをするのが指導者、常に真剣である。
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