コラム/めざせ達人

毎月発行する新聞「めざせ達人」から掲載しています

めざせ達人

第211回 技を覚えること

 合気道の基本動作のなかで、初心者にとって難しいものに、受身、膝行、転換がある。覚えるまでの過程は大切で、注意された点をすぐに修正できるような人になって欲しいと願っている。即座に修正出来る人は希少なので、それができる人は自信を持って良い。受身は、恐怖心を無くし、また、頭で考えて受身するのではなく、どのような投げにも身体が自然に反応できるようになって欲しい。膝行は、後ろ足の引き寄せを忘れず、軽やかに、自在に動けること。転換は、回転方向を逆にする誤りが多いが、逆回転の過ちに本人が気付かない為、小学校低学年の子だと身体が記憶するまで数年を要することもある。

 私が合気道を始めたのは十九才、途中九年間のブランクがあったとしても、初めて見る技であっても、今では出来ないものは無い!?技を一度だけ見て、再現することが難しい場合は、一度目は全体、二度目は足の動き、三度目は手の動きを見るようにしている。何となく眺めているだけでは、何度見ても同じ事で再現は難しいと思っている。ただ、私がヒップホップダンスの真似をすることが出来ないのと同様、合気道経験のない初心者が三度見て理解できるとは思わない。全体、足、手と分けて見取ることを記憶に留めておいて、努力して欲しい。

 技を覚えていくことは、自分自身を乗り越えていくことだと考えている。ひとつは、素直に師範の言葉に耳を傾け実行すること、この姿勢が最も大切。子どもへの技の注意は“しつけ”の行為と変わらない。成長に伴い自己が確立され、変わることを拒否するようになる。私は、恩師山口先生の言葉に疑念を抱いた事は無い。合気道の世界では、師範の良い癖も悪い癖もすべて吸収することが大切と考える。

 もうひとつは、自分を客観的に見ることが出来るようになること、自分の技における欠点を知りこれを克服する為に。また、肉体的なアンバランスに起因することもあるので、身体観察も怠らないことだ。

 最後に、同じ失敗を二度と繰り返さないこと、これは自分への戒めとしている。

2022年9月4日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai

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