第193回 一月二十四日

一月二十四日は山口先生のご命日、もう二十五年になる。生前、本部道場の稽古時間に私が八ミリカメラを持参し、先生の許可を得て撮影を行ったことがある。最初は私が撮影していたが、暫くして先生から撮影を稽古仲間の英国人に代わってもらうように言われ、私は先生の受けを取らせて頂いた。撮影が始まると、いつもの稽古とは異なり、非常に気迫のこもった稽古になったのを記憶している。残念なことに、テープを一本しか持って行かなかったため、最後まで録画出来なかった。テープの原本は先生にお渡しし、私はコピーを持たせてもらった。

テープ録画なので、自分で撮影したものを観るだけの時代だった。しかし、今ではいつでも、ネット検索で山口先生の演武や講習会の動画を観ることができるようになった。先生のご命日に合わせて、剣と杖の演武を観た。こんな稽古ができたら良いのにと、つくづく思う。

 私はあと二年で、山口先生の亡くなられた年齢になる。どんなに稽古しても、足下にも及ばないが、全身全霊を以て打ち込むしかない。しかし、いつも全身全霊で打ち込んでいることは少なく、無駄な時間を過ごしていることの方が多い。無駄な時間も必要ではあるが、残り少なくなった年月を、老化と付き合いながら、工夫し、一日でも長く稽古し、成長していきたいと考えている。

 入門部、少年部では三点倒立を昨年十一月より毎回二~三分程練習している。出来ないことが出来るようになる過程を体験し、それが自信につながることを分かって欲しい。苦も無く成功した子はわずか数人だが、三ヶ月間懸命に何度も挑戦してやっと成功、あるいは成功の兆しが見えてきた子が出てきた。しかし、数回の挑戦で止めてしまう子のやる気スイッチを入れるのは容易ではない。

 成長する人の共通点は、“素直さ”と“ぶれない信念”を持っていること。成長する人とは一つのことを続けることができる人、成長できない人にはそれが欠けていると言う。より良い人生を送るために成長を諦めないと、自分自身に言っておく。

2021年2月6日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai