第190回 今と変わった自分になる

コロナウィルス感染拡大の前に演武会をとの思いで、例年より一ヶ月早く開催した。待ち時間に冷気で震えることも無く、するにも見るにも心地よい、演武会日よりだった。昨年に続き、今年も演武に当たっての一言コメントを全員からもらった。その中で最も感動したのは『今と変わった自分になる』という一言だった。このコメントをもらった時は、これが小学四年生の書いた言葉かと疑う程の感動を覚えた。もちろん本人から出た言葉であることは、我が子の考えていることを知り、驚いておられたお父様の様子でわかった。

 『人間改革』、私はこれを合気道の一番の目標としている。私が子どもの頃には、家の近くに剣道や柔道教室、もちろん合気道教室もなく、毎日友達と遊ぶことしか考えていなかった。ところが、入門して四ヶ月の子が、自らこれを意識して稽古している。やる気スイッチを切ること無く、良い方向に導いて行かなければいけない、という責任感を感じている。

 二十年間河内体育館で演武を行ってきたが、少し前までは、頭で演武の組み立てを行い、そのストーリーを忠実に実現することを目指していた(完璧にできたことは一度もなかった)。また、演武と同時に、挨拶についても同様だった。事前に話の内容を頭の中でまとめ、それを口にする。これも筋書き通りに、話せたことは殆どない。“挨拶”は私にとって、演武の一つとなっている。

 会員の皆さんに書いて頂いた一言コメント、私も発表しなければと思いつつ、演武を終えてしまったのだが、「瞬間を捉える」という一言だった。技を覚えたら、技を自在に使うようになるために“技を忘れる”ことが必要だという考えからの一言だった。その結果は、もちろん、満足できていない。  自分を変えるためには、自分の限界点を押し上げて行くことが必要。際で自分を追い込んで、もう少し頑張ろうというのと、手を抜いて楽な方法を選択するのとでは、結果が違ってくることは容易に想像できる。演武前に稽古に来ないで当日演武に来てくれた子もいたが、結果を反省し成長に繋げて欲しい。

2020年11月1日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai