第177回 前進法

 離れて住んでいる家族間のコミュニケーション手段は、ラインを使用することが多く、電話を使用することが少なくなった。また、Googleドライブで毎日の孫の様子を写真、動画で見せてくれる。スマホはまさに生活の必需品となっている。七日間スマホを使用できない状況が起きてしまい、とても不便を感じたが、それ以上にスマホから離れたことの開放感は新鮮だった。束縛されない利用を考えなければいけないことを実感。

 スマホの弊害については、一日一時間以上になると脳への悪影響が起こるという報告もある。利用頻度が高い子どもは、言葉を司る前頭葉と側頭葉の発達が止まってしまうそうだ。また、大学生を対象にした実験でも脳の劣化が確認されており、鬱的な状態を発現しやすくなり、自己抑制能力も大幅に低下するそうだ。一日のスマホ利用時間を、一時間未満に見直す必要を感じている。

 自分の脳が劣化する前に、やるべきことが沢山ある。故山口清吾先生の残された言葉を実践、習得することだ。大先生のお教え、「前進法を教える。相手が大きければよじ登り乗り越えて行くまでである。」を、山口先生が解説されている。「ひとつひとつの細かいわざの名にとらわれない。武術の根本義に徹した、まことに簡にして含蓄深いお言葉と肝に銘じています。これこそ正面、出会い頭のわざ、第一教や入身の心でありましょう。前進し相手に当たる、そこに円転の理も生きてくるし、わざも展開され生まれてくる。安易に避けたり、よけたりする事が決して入身転換円転の理でないことを知るべきであります」。

 この大先生のお教えが、正面打一教、正面打入身のことだとは私には考えもおよばない。山口先生の解説があって初めて、なるほどとうなずける。正面打入身においては、“まずは当たる、当たるところが変化するところ“、という私の考えが間違っていなかったことを確認できた。また、正面打一教における身長の差は、よじ登ることで克服できると言われているが、その実践は容易なことではない。

 

2019年9月1日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai