第171回 形と技

 2月初めより、稽古を中断しながら断片的に昇級昇段審査を行ってきた。形の内容が十分でない技は再審査を行い、2月末に七人の審査を終えた。3級の審査では2教、3教、4教が大きなハードルだった。通常稽古での回数が少ないのが原因なのだろうか、今後もこの技を確実なものにしていって欲しい。

 入門部、少年部では基本技の形を稽古している。もう少し詳細に見てみると、二人一組の相対稽古を行いながら、取りは投げる形を覚え、受けは受身の形を覚えることから始まる。時には、取りと受けのタイミングが合わないことがあり、投げる前に受身を取ることも起きてくる。ここでは形の稽古からその先に進むことはない。

 一般部の稽古では、繰り返し稽古することで、徐々に徐々に、形のなかに技が吹き込まれてくる。ただ漫然と、何も考えずに、繰り返しているのであれば形から技への変化はない。受けの反応を見ながら技を掛ける、受けの時は相手の力と技の掛け方を、全身で感じながら受けを取ることが重要で多くの人と稽古すればするほど、技は精錬され定着してくる。さらに、無駄な動き、そして無駄な力を取り除くように、いつも心がけて稽古しなければならない。

 さらに稽古を重ねていくうちに、何度も壁にぶつかることがある。これを乗り越えるためには、自分自身に固執しないこと、自分自身が変わることが大切。これまでの自分の技を、いつでも捨てることができなければならない。

 今回の審査では正面打ちを受ける時、手首を掴まないようにという注意をした。いつも稽古で言っていることだが、やはり審査でもできない。打ち下ろす相手の腕を掴むことで、腕にとらわれ離せなくなってしまう、自分で自分の自由を奪うことになると考えている。必要な時は手で掴む、そうでない時は掴まないようにすること。形に技を加え、技に自分自身が加わると、その先には何事にもとらわれない、自由になった自分が待っている、、、と想像する。

2019年3月2日 | カテゴリー : めざせ達人 | 投稿者 : koukikai